すいみんせいかつ


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【1】放課後・初対面・青い果実


「どうしたの。」

柔らかい声で訊ねられて、はっと顔を上げる。
目の前のクラスメイトは、その声の甘さに正しく柔らかい猫っ毛で、ふわふわとした髪が陽光に透けて光っている。日本人なのに驚くほど茶色い、と思う。
細い指から滴る果汁を舐めながら、こちらをじっとのぞき込む目はぶしつけなほどまっすぐで、人に本心を安易に見せないことにしている俺はたじろいでしまう。
あまりに素直な視線は怖い。いつもは軽口にのせて交わすのに、一対一では無理だった。
――新学年、4/10(金)、PM4:40、放課後。
俺たちは教室で、行儀悪くも机の上に座り込んでメロンを食っている。
そもそもなぜこんなことになっているのか。
仲がいいわけではない。はじめて同じクラスになり、言葉を交わすのだってはじめてだと言うのに。

「なんでもねーよ。」

ため息をつく。
低い声で言って、そっぽを向く。

「そう?」

あんなにのぞき込んできた癖にクラスメイトは簡単に頷いて、手に持ったままのメロンを再び囓った。
また、青ざめた果汁が腕を伝う。
それにしても細い、と俺は思う。既に成長期を迎えたらしい自分の身体は、同学年の男子と比べれば男らしいと自負している。こいつだって背は割とある方だ。加えて大人びた視線、大人びた言葉遣い。
なのに俺の身体とは全然違う。とにかく手足がやたら細いのだ。

「なんで、」

言いかけた言葉を飲み込む。
メロンの汁が落ちかけたからだ。あわてて舌を這わせると、クラスメイトが静かに笑った。

「なんで帰ってなかったか、って?僕は寄宿舎生なんだよ。ルームメイトと一緒の部屋にいるのが息苦しくてね、狭いし。」
「だから教室?今日は短縮授業だっただろう。午前中で終わった筈。それからずっとここにいたのか?」
「ずっと、ではない。中庭で時間を潰して、誰もいなくなった頃をみはからって戻ってきたのさ。」

言葉を切って、またメロンをすする。

「俺だって寄宿舎生だ。このメロンは親の差し入れ。」

ぼそりと呟くと、奴は目を上げて、なるほど、と言った。

「つまり独り占めしようとして空っぽであろう教室に来たところ、俺がいたと。」
「まあ、そういうことだ。」

奴の声には面白そうな調子が含まれていて、少し腹が立った。
乱暴にメロンにかぶりつくと、また汁が垂れる。

「ついでにフォークも持ってきてもらえばよかったのに。メロンに手づかみでかぶりつくなんて、はじめてだよ。」
「悪かったな。」
「悪くはないけど。」

口止め料は、と言うのに、そのメロンが口止め料に決まってるだろ、と返す。
よくわからない。
軽口をたたくかと思えば真剣な目をこちらをみてきたりする。ルームメイトといるのが嫌だからと言って、誰もいない教室でぼうっとしている。誰かと遊べばいいじゃないか、と思って、言えなかった。俺も、友達と遊ぶのは得意じゃない。

それにしても。
それにしてもなんだろう、こいつは、少し、変だ。
かわっている、と思う。

「委員長と、部屋が一緒だったら良かったのに。」
「・・・・・・・・・なんで。」
「メロンくれるし、教室の鍵持ってるし、・・・・・・あ、種。」

真意をつかみかねて口ごもったのに、奴はそんな俺にはかまいもしなかった。相変わらず細い指を口の中につっこむ。なかなか取れないのか少し眉を顰める。奥に入ってゆく白いゆび。
――なんだか変な気分だ。やっぱりこいつは少し、おかしい。

怪訝な顔をして見ていた俺に、とれた、と言って奴は白い種を見せた。
つばと、青い果汁の絡んだゆび。汚い、と思うのに目が離せない。

「――お前、おかしいんじゃねーの。」

呟くと、にっこりと微笑まれた。

「よく言われる、けど、委員長も、人のこと、言えないと思うけど?」

ぬらぬらと光る指が、のびてくる。

「ついてる、」
「え、」

そう言って、口の脇にはり付いていたらしい種を、器用に掴んだ。
固まった俺に、ごちそうさま、と言う。気付けば奴の手のメロンは綺麗に皮だけになっている。

「美味しかったよ、またね。」

ガラガラと窓を開けて、一言。
ひらりと机の上から華麗に外へとジャンプする。
俺は驚いて窓の外を見たが、既に校舎の角を曲がるところだった。

(いくら1Fだって、あぶねーだろう、あの出方は、)

頭の中で呟きながら、窓を閉める。
立ち上がった瞬間に、ぼたぼたとまた、青い果汁がこぼれる。甘い、甘いあまい香り。

もう少し、仲良くなってもいいかもしれないと思った。
細い指だけが頭をちらついて、その日は甘い夢を見た。





【あとがき的なもの】
お友達と、お互いに刺激を高めるためにリレーをしよう!
ということになって、久々に文章を書きました。(オリジナルBLははじめてです。え、これBLだよね?BLじゃない・・・!?)
ありがちなベタベタのネタで申し訳ない・・・・・・。
本当は短ズボンに赤いリボンの可愛い制服、を入れる予定が入らなかった。
日本語とか文章とかおかしかったらごめんなさい(涙)。面白くなくてごめんなさい。。。(涙)






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