すいみんせいかつ


スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。





つめたい指先4


嫌な予感がしていたので、真っ先に保健室に飛び込んだ。誰もいなくて、冷たい汗が流れる。

――遅かったか・・・・・・?それとも、もしかして来る途中で・・・!?

嫌な想像に囚われながら階段を上ると、廊下に見覚えのある金髪と黒髪の人影。

「・・・鎮静剤です。変に薬を投入するよりはエドワード君が来るまで様子を見た方が懸命です。」

ホークアイ女史の声が聞こえて、慌てて割り込む。

「待って下さい!」
「エドワード君!」「鋼の!」

二人の間から見えたのは、廊下に横たわったまま憔悴に駆られた目でこちらを見つめるアルフォンスの目。

「鎮静剤を投与すると、薬の効き目が弱まってしまうんです、」

早口で説明しながらも、アルの状態が気になって仕方なかった。抱き起こそうとすると、熱い身体。発作のせいか、急激に熱が上がっている。

「アル、薬」
「・・・やだっ!!ちかづか・・・ない、でっ!!」
「・・・アル?」、」

次の瞬間突き飛ばされて、尻餅をついた。怯えしか見えないアルの目に、ハッとする。そう言えば昔から、警戒心が人一倍強いのはアルの方で。

そう思った瞬間、だん、と鈍い音を立てて、アルは壁に背中を打ちつけた。オレをはねのけた反動だ。

――ゴホッ・・・。

今朝出ていたものとは明らかに違う、深い咳。それが連なるように飛び出る。このままでは。

慌てて鞄から薬を取り出し、口で包みを破いた。横から、水の入ったコップが差し出される。その二つを口に含むと、暴れるアルを無理矢理押さえ込んだ。上を向かせ、舌で唇を押し開く。少しずつ苦みのある液体を流し込むと、やがて抵抗は止んだ。こくん、と咽が動き、入っていた力が抜ける。熱く、汗ばんだ身体を抱き留める。少しずつ、落ち着いていく呼吸音を耳元で聞きながら、ようやくゆっくりと息を吐いた。

「もう大丈夫です。ご迷惑おかけしました。」
「いいのよ。これは私たちの仕事のうちだから。」

ぐったりとしたアルの身体をきつく抱きしめながら言うと、ホークアイ女史がポーカーフェイスのまま答える。

「で、どうするんだね。」
「連れて帰ります。」
「ほぉ。それで。」
「学校、止めさせますから。」

にやり、と笑ったマスタング氏の顔を嫌な目で見てから、目を逸らした。頬にかかったアルの髪をそっとかき上げる。

「じゃ、そういうことで。アルが今までお世話になりました。」

白々しく言って頭を下げ、マスタング氏の目は見ずにホークアイ女史と握手をした。
アルを抱え直し、帰途につく。車に乗せ、シートベルトを締める一瞬だけ、アルの眉が寄せられた。その額に、キスを落とす。もう二度と、目を離してなどやらない。







上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。